幻の酒造米「白藤」で醸した伝説の新潟清酒!

明治、大正を経て昭和の初期(1930年代半ば)まで、新潟県酒造米の花形種で「白藤」というお米がありました。
風味よくサバケいい、ほんとの新潟らしい酒」と古きよき時代の杜氏が語っていたといわれる伝説の酒造米です。
いまでは「幻の酒造米」といわれるこのお米は、明治26年の「亀の尾」にさかのぼること半世紀期といわれ、その発生は江戸後期といわれています。
来歴は古く原産地は東北ですが県名は不明です。
上原酒造ではその「白藤種」の復活の試みを平成15年から始めました。
その「幻の酒造米」を2004年度のわずか800粒ほどの種籾(たねもみ)から、3年間の試行錯誤を経てようやくお酒を仕込める量を収穫するにいたりました。
「白藤」を栽培していただける農家の輪も広がりをみせつつあります。
新潟醸造試験場誌によれば、昭和初期に「白藤」と「亀の尾」の醸造適正、そして出来上がったそれぞれの官能評価(きき酒鑑評)が行われました。それぞれののお酒の官能検査は―
「白藤」で造られたお酒は「淡口に感ずれども口中のサバケよく酒質良好」
「亀の尾」で造られたお酒は「いくぶん荒き感あれど芳香ありて酒質良好」
―などの記述があります。また一般的評価としては
「白藤種」による酒:
香気やや低き感あるも、風味に富み肌濃かにして口中のすべりよし。
「亀の尾種」による酒:
押味強くして口中荒き感なきにしもあらずも、香気ありて男性味あり。
―などの評価があります。
まとめとして「いずれもおのおの特長を有するもののごとし」というところでした。
これらにより「亀の尾」の酒は香気にまさる男性的な酒。
「白藤」によるものは風味豊かでさらりとした酒。といったところでしょうか。
評価としてはそれぞれの良さと特性があり、軍配はどちらにも上がらず人気を二分していたようです。
にもかかわらず「亀の尾種」が主流となり、その「亀の尾種」も「五百万石種」に取って代わられたのは、世の中の流れが大粒米を要求する流れになったこと、農家の人が作りやすい背丈の短い稲が主流になったことが上げられます。
四半世紀(約75年間)を経て、ようやく蘇った伝説の酒米「白藤」。それは農家の方々とわが蔵人たちの四季を通じて働く姿の結晶でもあります。
「白藤」のたわわに実る田園風景、古きよき越後の農村風景「白藤卿」を思い浮かべつつ、ご賞味願えれば幸いです。